日本音響学会で発表してきました(小牧市市民会館)

3月8日に音響学会で愛知県小牧市市民会館のリニューアルにともなった室内音響設計について報告してきました。

●小牧市市民会館ホール改修にともなう室内音響設計 【PDF】

 

平成21 年(2009)7 月にリニューアルオープンした多目的ホールです。
2000年から中部フィルハーモニー交響楽団が本拠地とし活動をしているホールです。

今回の改修は、アスベスト撤去に伴う改修であったが、 よりコンサートホールに近い音環境の確保を望まれホール内の全面改修に至りました。我々は ホールに関わる音響調査、室内音響設計および監理・測定を担当しました。

設計は㈱石本建築事務所名古屋支所、施工は佐藤工業㈱名古屋支店、 平成19年に設計を開始し施工期間は平成20年10月~平成21年6月の9ヶ月間です。

森久美子さんと中部フィルハーモニーとのリニューアルオープニングコンサートでは、
音が明るくなった、他の楽器の音が聞き取りやすい等の好評価も得られました。

音響反射板を設置したオーケストラの演奏会形式でも マイクやスピーカを用いた曲目解説やトークも聴きやすかった。 マイクを使用した森久美子さんの歌のパフォーマンスも、 中部フィルの生演奏と違和感なくマッチしており音質も音量のバランスも自然であった。

音響設備の調整もスムースに行えることも 室内音響特性の改善によるところが大きいと考えています。

音響設備については改修後はセンタースピーカが増えているところがポイントです。 やはりセンタースピーカがあるからこそ音がしまります、ね。大事です。

 

<室内音響設計の概要>
・多目的ホールでは多く見られる緞帳上げ下げのための隙間が、本ホールにもありましたが、
今回の改修では、舞台に音響反射板を設置した時にはその隙間をなくした。

・客席内では壁面には大小あわせて多種類の拡散形状の採用。配置もランダムにかつ非対称を実現。

・内装材については共振周波数を分散させることを考慮し、FGボード、合板、石膏ボード、珪酸カルシウム板等を組み合わせ厚みも様々に取り入れた。
改修前はGRC(ガラス繊維補強セメント)パネル。

(千葉朝子記)