話題のHDD型携帯オーディプレーヤの音質比較(H17.5.4)

電車の中、車の中、スポーツしながら、はたまた家でスピーカにつなげて。。。と
便利で、今、注目の的の携帯オーディオプレーヤ!!ひょんなことから
日経ゼロワンの企画の一環として、オーディオプレーヤの音質比較に協力しました(2004年12月協力)。

携帯オーディオプレーヤには、大容量をもつHDD型とコンパクトで持ち運びにすぐれたメモリ型とがありますが今回は、HDD型タイプで再生周波数特性を比較しました。

測定の結果から、携帯オーディオプレーヤの音質は、機種による差も多少ありましたが、それよりも、ビットレートの違いと、付属のイヤホンの特性に大きく左右されることがわかりました。

音質を追求するならば、ビットレートを上げて、自分が気に入ったイヤホン(ヘッドホン)に変えるといい、ということがデータから読み取れます(普段、店でヘッドホンやイヤホンを試聴して購入する事は難しいですが・・・)。よく聴く音楽の特徴、音の好みに合わせて、自分流にカスタマイズすることに尽きます。

ここでは、再生周波数特性の比較結果を一部ご紹介いたします。
余談ですがこの測定の後、携帯オーディオプレーヤを購入した所員がいます。しっかりマイヘッドホンを使っていますよ。(笑)

●機種は12機種

●紹介する再生周波数特性の比較結果は以下の7項目

1)イヤホンアウト(プレーヤ単独)の再生周波数特性の比較(図-1、図-1a)
2)付属イヤホンを含む再生周波数特性の比較
3)データ圧縮形式の違い(MP3、WMA、Ogg)による再生周波数特性の比較
4)ビットレートの違い(MP3)による再生周波数特性の比較
5)ビットレートの違い(WMA)による再生周波数特性の比較
6)ビットレートの違い(Ogg Vorbis:以下oggとも表記する)による再生周波数特性の比較
7) おまけ:ヘッドホンとイヤホンの再生周波数特性の比較

※機種によって圧縮方式が限定されます。断りがない限りビットレート128kbpsで統一して測定

1)イヤホンアウト(プレーヤ単独)の再生周波数特性の比較 (図-1、1a)

図-1は、オーバーオールに対する相対値で表示した結果。
12機種のうち、2機種(「8」と「10」)が他と異なる特性を示しました。ビットレート128kbpsで統一。

fig1プレイヤ単独のF特

図-1  プレーヤ単独の再生周波数特性

図‐1aは測定値そのままのデータを比較した結果。
ボリュームの位置は各機種の最大位置で統一。最大再生時のレベルの違いがわかる。
「6」「11」は同メーカ機種でレベルもほぼ一緒。
※各数字は機種の番号を表示。※音源はピンクノイズ※オーバーオールに対する相対値で表示。

fig1aプレイヤ単独のF特
 図-1a  プレーヤ単独の再生周波数特性

2)付属イヤホンを含むの再生周波数特性の比較 (図-2)

  付属イヤホンを含んだ特性(ダミーヘッドを用いて測定)。
プレーヤ単独の特性よりもばらつきが大きい。全機種(イヤホン)とも、4kHz付近のレベルが持ち上がる傾向がある。
「7」は、低域が持ち上がり、4kHzよりも高域においてレベルが抑えられている。
イヤホンとヘッドホンで、楽曲(イーグルスのホテルカリフォルニア)を聴き比べた。
イヤホンではやや低音の物足りなさを感じる(イヤホンでは聞きとりにくかった低音特にドラムの音がヘッドホンでは聞きとれた)。
4kHz付近のレベルが持ち上がっていることも一因であると考えられる。
※各数字は機種の番号を表示。※音源はピンクノイズ ※オーバーオールに対する相対値で表示。

fig2付属イヤホンを含んだ特性
 図-2  付属イヤホンを含んだ再生周波数特性  

3)データ圧縮形式の違い(MP3、WMA、Ogg Vorbis)による再生周波数特性の比較 (図-3)
ビットレートを128kbpsで統一して、MP3、WMA、Oggの再生周波数特性を比較。
MP3、WMAは12.5kHzまでフラットに特性が伸びているのに対し、
Oggは8kHz以降16kHzにかけてレベルが持ち上がり、特性は20kHzまで伸びている。
128kbpsにおいて、oggの再生周波数帯域が広いということはいえるが、
残念ながらこの結果から一概に音質の良し悪しは判断できないので注意。
※イヤホンアウト(プレーヤ単独)の特性

fig3
 図-3  圧縮形式の違いによる再生周波数特性 

4)ビットレートの違いによる再生周波数特性の比較(MP3) (図-4)

MP3で、ビットレート128kbpsと320kbpsとを比較。
128kpbsでは12.5kHzまで、320kbpsになると20kHzまで周波数帯域が伸びている。
※イヤホンアウト(プレーヤ単独)の特性

image811
 図-4 ビットレートの違いによる再生周波数特性(圧縮形式:MP3)  

5)ビットレートの違いによる再生周波数特性の比較(WMA)(図-5)

WMAで、ビットレート64kbps、128kbps、192kbpsとを比較。
64kbpsでは10kHzまで、128kbpsでは12.5kHzまで、192kbpsでは16kHzまで周波数帯域が伸びている。
※イヤホンアウト(プレーヤ単独)の特性 ※音源はピンクノイズ

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 図-5  ビットレートの違いによる再生周波数特性(圧縮形式:WMA) 

6)ビットレートの違いによる再生周波数特性の比較(OggVorbis) (図-6)

Oggで、ビットレート64kbps、128kbps、180kbpsとで比較。
高音域で特性が持ち上がる傾向がOggVorbisの特徴といえる。
64kbpsでは5kHzから12.5kHzにかけて特性が持ち上がり、12.5kHzまで周波数帯域が伸びている。
128kbpsでは6.3kHzから16kHzにかけて特性が持ち上がり、20kHzまで周波数帯域が伸びている。
160kbpsでは10kHzから持ち上がり、20kHzまで周波数帯域が伸びている。
※イヤホンアウト(プレーヤ単独)の特性
image8141

  図-6   ビットレートの違いによる再生周波数特性(圧縮形式:Ogg   Vorbis) 

7)おまけ:ヘッドホンとイヤホンの再生周波数特性 (図-おまけ)

ヘッドホン(2種)とイヤホンの再生周波数を比較した。 プレーヤ、イヤホンは「11」のものを使用。太線がヘッドホン。

  図-おまけ   ヘッドホンとイヤホンの再生周波数特性 

●測定機器など

<音源CD>
ピンクノイズ(日本音響コンサルタント協会「Audio/Acoustics Technial CD」 から)
イーグルス"ホテルカリフォルニア”(試聴用) (日経01さんで全機種ともに同じ条件にてリッピング)

<ダミーヘッド>協力:㈱エレクトリ
ノイマン ダミーヘッド Neumann KU-100 Dummy Head (弊社ではジョージ君と愛情を込めて呼んでいますっ。)

     
<FFT>    GOLDLINE TEF SYSTEM20SHIPAnarizer Real Time Anarizer

協力いただいた、日経ゼロワン西部氏、㈱エレクトリさんにお礼申し上げます。