日本音響学会で発表してきました(OPUS、あうるすぽっと、THE MAT'S)(H20.4)

5年ぶりに音響学会で、音響設計協力させていただいた3物件について発表してきました。この場を借りて報告します。
一件目は、イベントスペースのリニューアル物件。知らない人はいない?!
あの有名な銀座ソニービルのコミュニケーションスペース「OPUS」。
二件目は、設計当初は名刺交換会程度のホールだったのが劇場にまで発展した
東池袋の劇場「あうるすぽっと」
最後に小松市が小松駅の高架下に作ったライブハウス「THE MAT’S」です。
年末の大忙しのときに3件まとめるのは結構シンドかったですが、
がんばった甲斐もあって件数の多さは某社さんに次ぐ第二位(笑?!)でした。

● 銀座ソニービル内のコミュニケーションスペース 「OPUS」の音響設計
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商業施設の設計では、制約や課題が多い。「既存構造」「デザインイメージ保全」「短い工期」「扉はほとんど開けて使う」等々。これに音響上の制約、遮音のために重量壁や扉や二重窓が必要、浮き壁が躯体に接触してはだめ、音が集中するから壁を斜めにしたい、みためは円形でも四角にしたい、ランダムや非対称に・・・・・云々カンヌン、からんでくると関係者の苦労や負担が多くなる。「音響は大切だ」という理解者が集まったからこそ実現した空間である。

 

●豊島区立舞台芸術交流センター「あうるすぽっと」の音響設計
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事務所を立ち上げた平成12年から関わり、昨年平成19年にやっとオープンを迎えた劇場。思い入れもヒトシオである。稼働率も90%以上ときく。
劇場の響きについては、台詞が客席側で聞き取りやすくするということが最も重要である。吸音材の分散配置がデザイン保全されながら実現できた一例として紹介する。
遮音については、この劇場の上階は図書室。視察にいった図書室は静かな図書室が多かったが、ここは劇場からの音漏れを気にならなくするために、構造上実現可能な遮音性能確保とともにむやみに静かにしないことが必要であった。また実際に使用するスピーカと持ち込みスピーカとの遮音性能の測定結果に違いがみられたことも、遮音を考える上では重要な点である。(あうるすぽっと ホームページ http://www.owlspot.jp/ )

 

●小松市民交流プラザ「The MAT‘S」芸術文化併用施設の音響設計
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このThe MAT'Sは、市が監理運営するライブハウスである。しかもこのライブハウスは小松駅の高架下にあります。近くにはホテルもあります。ライブハウスといえばやっぱり時間帯は夜がメイン、飛び跳ねることも想定されます。

うちの事務所には面白い物件ばかり舞い込むのかと、声をかけてくれるみなさんに感謝するとともに、音を良くしよう!という熱い方々と出会えて語り合えるたびに嬉しくてたまらない。励まされる。

先日11月22日、オープンからほぼ1年を迎えたこのライブハウスで市の担当者の一人であるN氏が企画したJAZZイベント(2回目)に足を運んだ。大隅寿男トリオ+マルタさん(サックスで有名)であった。周囲には現場で一緒だった設計施工担当者の顔も多々みられた。ライブは立ち見であったが、老若男女、幅広い世代が足を運んでおり大盛況であった。まさに交流施設である。

次回JAZZイベントは6月27日(金)、青木カレンさん+大隈寿男トリオで開催される。お客様に立ち見は申し訳ない、、との出演者の要望もあり、着席形式になるらしい。興味ある方は是非足を運んでみてください。(The MAT'S ホームページ http://www.the-mats.com/