音響設計の仕事を通しての会館職員のご活躍とご苦労についての感想【Part8】改修時点(浪花克治記)

音響設計の仕事を通しての会館職員のご活躍とご苦労についての感想

日常の設計管理コンサルタント業務を通じて仕事の流れにそって日ごろ感じることを披露したいと思います。
(特に会館職員との関わりについて)

8. 改修時点

改修時点が実は一番ホール音響技術者の顔がよく見える時期である。改修では一気に設備機器が更新増力される。この陰に隠れて個別機器・装置の早期老朽化は目立たないが、平均して15年周期に訪れる改修工事以外に機器、装置は15年ごとに更新すべきとは決まっていない.この陰に隠れて個別機器・装置の早期老朽化は目立たないが、逆に、もっと短いもののほうが圧倒的に多くほとんどがそうである。しかし,現実には年度予算の制約もあり組織だってこの機器ごとの整備を計画的におこなわれている例を見ない。この整備には維持・修理の考え方であれば現状復帰で良いのであるが使用の実態を考慮した改善の考え方を導入しなければ意味をなさないものも多い。調整卓、効果機器、スピーカなどの主要な機器がそれにあたる。ここで改修整備の考え方の整理を拡大方向のみでおこなっているととんでもない不釣合いな設備が出現することになる.あくまでもホール・劇場の使用の実態を考えての整備を進めるべである。この考え方で組織だって整備をおこなっていこうとする機運が大型劇場コンプレックスで出てきた。私も参加しているが外部のメンバーとして設計者、音響プランナー・技術者を含めた委員会組織で対応していこうというものである。これは音響設備だけではなく、舞台設備全般に渡っている。ここでの議論は原則として維持修繕の域を出ないものであるが、使用の実態を反映したものとなっている。しかし、劇場固有の改善すべき重要な項目も当然あり、この委員会では処理できないものである。したがって、別組織を立ち上げ検討するように具申をおこなっている最中である。委員会組織の是非についてはともかくとして、こうした広い視点からの整備のための検討がおこなわれていることには注目に値する。

以上、音響設計者としての視点で建設スケジュールに沿ってホール、劇場の運営、技術者に会って感じたことを述べた。まだまだ課題はたくさんあると思っているがその原点は運営現場にあると認識している。これからもこの点においてお互いの情報交換を積極的におこなっていけば解決できる課題も多い。この点について積極的におこなっていきたいと考えている。(浪花克治記)

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